知らないと怖い疾患
元気の素
健康な身体を蝕むさまざまな疾患の初期症状や原因、対処などを知ることで、手後れのリスクを減らしましょう。

ノロウイルス感染症

■どんな感染症か

乳幼児では、初冬(11~12月)を中心に急に発生します。成人では、二枚貝などを生か加熱不足で食べた場合にみられます。症状には個人差があります。学校・施設や旅行先などで集団食中毒として発生することがあり、二次感染として発生することもあります。最近、調理従事者からの食品の汚染、施設内でのヒト‐ヒト感染が多くなりました。

■症状の現れ方

突然、嘔吐・下痢が起こります。食中毒の場合は、食後12~48時間に症状が現れます。軽症の場合は、気持ちが悪い程度で終わります。発熱、呼吸器症状を伴うことがあります。通常、数日で軽快します。重症になると脱水症状が現れます。まれにけいれん、腸重積(腸管の一部が腸管腔内へ入り込む)などが起こります。

■病気に気づいたらどうする

原因となる食材、あるいは周囲に同じ症状を示す人がいるかどうかを確かめます。
いる場合は、医師などを通して保健所に報告します。下痢が数回みられたり、あるいはけいれんなどほかの症状がみられたら受診します。小児科専門医のいる医療機関を受診することが望まれます。



■予防の注意点

患者の便や吐物には大量のウイルスが排出されますので、予防のためにも次のことをしっかりと守りましょう。
1. 食事の前やトイレの後などには、せっけんを使い
  しっかりと手を洗いましょう。

2. タオルなど共用で使用するものを避けることも必要です。
3. 下痢やおう吐等の症状がある方は、
   食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。

4. 食品中のウイルスは加熱により感染性をなくすことができます。
   食品の中心温度が 85℃ 1分以上になるように
   しっかり熱を通して食べましょう。

5. 便や吐物の処理をする時は素手で触らず、
   必ずビニール手袋を使用しましょう。
  汚物の消毒は市販の塩素系消毒剤(漂白剤)を
  希釈したものを使用してください。


■二次感染を防ぐには?

下痢の症状がなくなったからといって安心してはいけません。患者の便にはしばらくウイルスの排出が続きます。患者の便や嘔吐物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、用便後や調理前の手洗いを徹底しましょう。
便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れてください。 残った便や嘔吐物の上にペーパータオルをかぶせ、その上から50倍~100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を十分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭きましょう。
ウイルスは乾燥すると空気中に漂い、これが口に入って感染することがありますので、便や嘔吐物を乾燥させないことが重要です。

2014/12/1 掲載