
嚥下障害とはどんな障害か
物を食べる」ことは、「食べ物を認識し」「口に入れ」「噛んで、飲み込む」までの動作からなります。このうち「飲み込む」という動作が「嚥下」にあたります。つまり、「嚥下障害」は「飲み込みの障害」であるといえます。
嚥下は、(1)舌の運動により食べ物を口腔から咽頭(いんとう)に送る口腔期、(2)嚥下反射により食べ物を食道に送る咽頭期、(3)食道の蠕動(ぜんどう)運動により胃まで運ぶ食道期に分けられます。嚥下には多くの器官が関わっているため、これらが障害を受けるさまざまな疾患で、嚥下障害が起こりえます。
嚥下障害が起こると、食物摂取障害による栄養低下と、食物の気道への流入(誤嚥(ごえん))による嚥下性肺炎(誤嚥性肺炎)が問題になります。嚥下障害を引き起こす疾患にはいろいろなものがありますが、とくに脳梗塞(のうこうそく)・脳出血などの脳血管障害、神経や筋疾患などでは高い率で起こります。また、高齢者の肺炎のかなりの部分は、加齢による嚥下機能の低下によって引き起こされる嚥下性肺炎であるともいわれ、高齢化社会を迎えてその対応が問題になっています。
症状の現れ方
食べ物が飲み込みにくくなったとの自覚(嚥下困難)や、食事の時のむせ(誤嚥)が現れます。嚥下に関わる器官は発声・構音機能にも関与するため、これらの状態も嚥下機能の参考になります。小児や中枢神経障害などでは嚥下困難の訴えがない場合もありますが、食事の内容や状態で判断することもできます。固いもの、ぱさついたもの、まとまりのないもの、固形物と水物の混合した食物は飲み込みづらい食べ物であり、これらを避けて飲み込みやすい半流動物を好んだり、食事に時間がかかったりするようになります。
誤嚥の有無は飲み込んだあとのむせや咳、食後によく痰が出るなどから判断できます。水を飲んだあとに痰が絡んだような声が出る場合には、喉頭(声門)まで食べ物が侵入していることが示唆されます。気道反射の低下している場合には、むせは認められず、さらに肺炎を起こしやすい状況になるので注意が必要です。
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