めまい
■めまいとは?
私たちが空間のなかでうまくバランスをとって、運動をしたり姿勢を保ったりするためには、自分の体の動きや位置についての正確な感覚情報が必要です。
この情報のうち、頭の傾きや回転などは耳の奥深くにある内耳の三半規管(さんはんきかん)や耳石器(じせきき)という部分で感知されます。耳の病気でめまいが起こるのは、実際にはじっとしているのに、頭が動いたり回転したりしているという誤った信号が内耳から発せられるためです。
目からの視覚情報も、バランスには大切です。遊園地にミステリーゾーンなどといってわざと傾けてつくった家があることがありますが、そのなかでは自分が一方向に引き倒されるような異常な感覚、めまい感を体験することができます。
これは視覚で認識する見かけの垂直と、内耳が感じる重力の垂直とが食い違うことによって起こる現象です。同様に、首などの関節や筋肉からの情報も大切なはたらきをしています。
健康な状態では、これらの感覚の間に矛盾はなく、自分の運動や外界の変化をそれなりに知覚することはあっても、これをめまいと感じることはありませんが、前にあげた例のように、内耳などバランスの感覚器の調子が悪くなると、現実の姿勢や動きとは異なる情報が発信されます。
すると、その信号によって、実際には頭や体は傾いていないのに、それらが傾いた時と同じような筋肉の反射が起こり、また、この異常な信号は直接脳にも伝えられます。これらの誤った情報は、現実の運動で生じるものとは異なり、他の視覚や固有知覚とうまく一致しません。
■いろいろな病気で起こる
私たちは、このような複数の感覚情報の不一致を「めまい」と感じるようです。したがって、内耳の病気だけでなく、視覚、首や腰の異常もめまいの原因となります。また、それらの情報入力を統合する脳、とくに姿勢や運動を反射的に調節している脳幹や小脳の病気、たとえばや脳出血、でもめまいを感じます。
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