
胃・十二指腸潰瘍
胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものを総称して消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)と呼んでいます。消化性潰瘍の代表は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍です。
胃潰瘍は、40歳以降の人に多くみられるのに対し、十二指腸潰瘍は10~20代の若年者に多くみられます。十二指腸潰瘍の患者さんは、過酸症(かさんしょう)であることが圧倒的に多いのですが、胃潰瘍の患者さんは、胃酸の分泌は正常かやや少なめの場合がほとんどといわれています。
胃の粘膜に炎症が生じると、胃の粘膜は多かれ少なかれ障害を受けます。この時、粘膜が深くえぐり取られたものを“潰瘍”と呼んでおり、浅い変化しか生じなかったものを“びらん”と呼んでいます。
びらん性胃炎というのは、腹痛などの症状が胃潰瘍と同じように現れますが、回復は早く、症状は数日で消え、内視鏡で観察すると胃炎の所見も1~2週であとかたもなく消えてしまうことが多いといわれています。これに対して、胃潰瘍は症状が長く続きますし、潰瘍が治癒するのに2~3カ月もかかります。
症状の現れ方
自覚症状で最も多くみられるのは上腹部痛です。十二指腸潰瘍では、空腹時痛がよくみられ、とくに夜間にしばしば起こります。胃潰瘍では、食後30分から1時間たったあとの上腹部痛がよくみられます。
しかし、すべての胃・十二指腸潰瘍の患者さんに上腹部痛が現れるわけでなく、20~30%では痛みが出現しないことに注意する必要があります。 潰瘍からの持続的な出血があると、吐血(胃酸と混じるためコーヒーの残りかす様のことが多い)または下血(タール便と呼ばれる海苔のつくだ煮様の黒っぽい便としてみられることが多い)として症状が現れてきます。出血症状が現れた場合は、急を要することが多いので、病院を早急に受診してください。
そのほか、むねやけ、吐き気、嘔吐などがみられることがあります。食欲は、吐き気が強い時を除けば落ちてくることはむしろ少ないといわれています。
病気に気づいたらどうする
胃・十二指腸潰瘍の疑いのある時は、早急に医師の診察を受けてください(できれば消化器専門医)。なかでも、強い上腹部痛を伴う場合は胃・十二指腸潰瘍の穿孔(せんこう:孔(あな)があく)が考えられますし、吐血や下血を伴う場合は、胃または十二指腸粘膜からの出血が考えられますので、至急救急外来を受診してください。
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